「中学校で受けられる合理的配慮ってどんなものがあるの?」
「我が子が通う中学でも受けられるの?」
公立中学校で、学習障害の子どもが合理的配慮を受けられるか気になりますよね!
学習障害の次男への合理的配慮は、正直諦めていた部分がありました。
ところが、中学の通級の先生から、次男の課題に寄り添った合理的配慮を提案して頂いて実施、嬉しい誤算となりました。
中学に入学して受けられた合理的配慮は、以下の通りです。
- 読み書き検査の実施
- テスト受験時の合理的配慮の希望の聞き取り
- 定期テスト受験、別室で10分間延長(長男)とクラスメイトへの説明
- 定期テストの振り返りとテストが読めているかアセスメント
- 読み上げ教科書DAISYのIDとパスワード発行
- 東大先端研からのタブレットPCの貸与
詳しく知りたい方は記事を読んでみてください。
目次
- 2016年から義務化!学校で受けられるはずの「合理的配慮」とは?
- 小学校の通級に絶望、中学校の通級説明会に参加
- 小学生のうちに、中学入学に向けて取り組んだこと
- 中学校で合理的配慮を受けるにあたり、お世話になった先生
- 中学校1年生の次男が9月までに受けられた合理的配慮
- 通級の先生による、読み書き能力の検査
- 次男本人に丁寧に寄り添った中間テスト受験
- 中間テストの振り返りが期末テスト受験延長の布石に
- 前期期末テストでは10分延長、テスト問題全てにルビ振りで受験!
- 読み上げ教科書「DAISY」の導入
- 東大先端研「DO-IT JAPAN」への申し込みとWINPCの貸与
- おまけ:特別支援コーディネーターの先生による、定期試験延長への配慮<長男>
- おまけ:周囲のクラスメイトに、別室受験について説明してもらう<長男>
- まとめ
2016年から義務化!学校で受けられるはずの「合理的配慮」とは?
そもそも学校で受けられる合理的配慮とは何でしょうか?
「障害者差別解消法」が平成25年6月に制定されました。
障害の有無によって差別を受けることなく、お互いに尊重し合いながら共生する社会の実現を目指す法律です。
2016年(平成28年)4月から施行されています。
公立学校では、発達障害のある子どもたちに合理的配慮をすることが義務付け(私立学校は努力義務)られています。
この合理的配慮、「義務になった」と言ってもなかなか受けられないこともあるようです。
例えば、タブレットの持ち込みは他の生徒に対して不平等、持ってきて良いものではないので持ち込み禁止など。
学校で働いている身としては、
「合理的配慮をするような人員の余裕がない」
のが正直なところです。
そのような実情も分かっていたので、期待していませんでした。
小学校の通級に絶望、中学校の通級説明会に参加
小学校では、長男も次男も小学校で何らかのサポートを受けてきました。
次男に関しては小学校4年生から3年間週1回、ことばの教室に通っていました。
ただ、ことばの教室では息子は読み書きの課題よりも語彙を増やし、人に説明ができるようにとコミュニケーションのトレーニングが優先されていました。
担当の教員に、
「次男は読み書きが苦手なので読み書きのトレーニングをしてほしい」
と要望を何度伝えても取り合ってもらえませんでした。
そんな中、中学校でも通級指導教室に通うかどうか決めるために説明会に参加しました。
中学の通級指導教室は2,3ヶ月に丸1日通います。
勉強のアドバイスをもらえたりもするけれども、基本的にはSSTを必要とする、
「コミュニケーションに課題を抱える子どもたちが通う所」
という印象を受けました。
学校を嫌がったり、友人とのコミュニケーションに課題があるわけではないため、正直通級指導教室に通わせるか悩みました。
通級指導教室では、本人の希望がなければ通わせられないというスタンス。
とりあえず小学校でも通っていたから…ということを本人に伝え、了解を得て申し込みました。
関連記事[小学校]中学校の通級説明会に参加!小学校のことばの教室との違いは?
小学生のうちに、中学入学に向けて取り組んだこと
次男が小学生のうちに、中学入学に向けて取り組んだことは以下の通りです。
- 中学校の通級指導教室の説明会に参加
- 通級指導教室に通いたい旨を連絡する
- 冬休みに親子で通級指導教室での面談
- 中学校で具体的な合理的配慮を受けられるよう、病院や教育センターでアセスメント(発達検査)を受ける
- 次男が中学校で受けたほうが良い合理的配慮について、教育センターでアドバイスを頂く
- その検査結果を持って、中学校の特別支援コーディネーターと受けたい合理的配慮について面談する(特別支援コーディネーターが異動しないと有り難い…!)
関連記事[小学校]中学校入学に備え、教育センターで次男の発達検査。結果をどう活かす?
関連記事[中学校]学習障害の子が受けられる合理的配慮は?リクエストは実現する?
成育医療センターで読みの検査をしてもらいました。
「じゃ、じゅ」などの拗音がすんなり読めていなかったり、漢字の読み書きも小学1〜2年生レベルということが改めて分かってきて、中学に入学するのは不安しかありませんでした。
社会は漢字で答えなければ点数はもらえないし、英語はおろかローマ字すら何度練習しても読むこともできません。
そんな状態で英語の学習が始まるのは、私以上に本人も不安でしかなかったのではないかと思います。
中学校で合理的配慮を受けるにあたり、お世話になった先生
中学に入学する前から、特に2人の先生にお世話になりました。
1人は特別支援コーディネーターの先生です。
授業は理科を担当しており、特別支援コーディネーター3年目。
テストはルビを振るなど、特別支援を意識した授業づくりを心がけているそうです。
子ども達が時間延長でテストを受験することを快く承諾して下さり、周囲の先生にも特別支援への理解を深めるために声かけをされていたそうです。
もう1人は通級指導教室の先生です。
次男の発達の特性を理解して下さり、いち早く読み書きのアセスメントに取り組んでくださいました。
また、1日6時間を通級指導教室で過ごすのは本人の特性からも意味がないかもしれないということで、放課後に面談する時間を取ってもらえました。
中学校1年生の次男が9月までに受けられた合理的配慮
中1の次男を中心に、9月までに行われたサポートや合理的配慮について記しておきます。
なかなかブログの記事を書くことが難しかったので、所々記録が抜けていたところを思い出しながら書いてみますね〜。
通級の先生による、読み書き能力の検査
読み書き能力をはかることができる、URAWSS (ウラウス)という検査があります。
日本語だけでなく英語の検査もあるそうで、夏休み中には英語の検査も受けられました。
アルファベットの大文字小文字のすべてを書くことは難しいこと。
このテストは英語の授業のもの。
読み上げてもらった問いには答えられるものも、目では英単語を読めないこと。
アルファベットは書けないが、カタカナで答えることはできる(cat は書けないが、キャットなら書ける)ことがわかりました。
ちなみに、英単語を記入するテストは白紙、0点です。
次男本人に丁寧に寄り添った中間テスト受験
次男がどのように定期テストを受けたいか、通級指導教室の先生が丁寧に本人に寄り添ってすすめてくださいました。
まず、定期テストの受験方法にいくつか選択肢があることを伝え、どのように受験したいか聞き取ります。
その結果から、次男は中間テストは教室でみんなと一緒に受けたいという気持ちが強いことがわかりました。
聞き取りシートを作成して下さり、そのシートを持って担任の先生に自分がやりたい方法を伝えて、アドバイスをもらうように促してくださいました。
本人の意向を尊重し、中間テストは、教室で時間延長もルビ振りもなく、みんなと同じように受験しました。
中間テストの振り返りが期末テスト受験延長の布石に
長男は時間延長を行いましたが、次男は普通に受験をしました。
「時間も余るくらいだったし、答えられた」
とのこと。
しかし、通級の先生が中間テストの振り返りをしてくださったことで分かったことがありました。
テストを音読してもらって、テストの問題文をしっかり理解できているか確認したところ、どうやら読めなかったり、理解できていない単語があったとのこと。
それらをしっかり読めるようになれば、時間いっぱい受験ができるのではないかというでした。
テストの文面を理解していないようであれば、ルビを振ってもらったり、パソコンで読み上げをしてもらえます。
定期テストの問題文は見るだけでは読めていないかもしれないという疑問はありつつも、本人にとってはそれが当たり前のこと。
そのことを親が呼びかけても、本人にやってみようという気を起こすのは難しかったのではないかと思います。
本人の特性をしっかり理解した先生が丁寧に振り返りをして下さったからこそ、別室で時間延長、ルビ付きのテストで受験してみようと思うようになったのかもしれません。
また、どうやら普段の授業でも、黒板の字を写している間は先生の話が全く頭に入っていないということもわかりました。
ノートを書くということは本人にとっては非常に負担であるため、脳のメモリを黒板の書き写しに使ってしまっている状態だと考えられます。
それらを解消するため、タブレットの使用で黒板を写真に撮ることができれば、先生の話を今よりは聞けるようになるのではないかというアドバイスもいただきました。
前期期末テストでは10分延長、テスト問題全てにルビ振りで受験!
前期期末テストでは、合理的配慮で試験時間は10分延長、テスト問題の全ての漢字にルビがつきました!
点数に反映されてるかと言われると微妙だけど…本人は前回のテストで
「漢字の熟語がほぼ虫食い」
だったのがよく読めたそうです。
ルビ付きを希望する、全ての生徒に適用して欲しいところです。
外国がルーツの生徒も増えてきていることもあり、希望してもしなくてもルビがついている方がいいんじゃないかとも思ったりして…。
中1の後期期末テストでは、1教科のみPC読み上げ、PC入力での解答にもチャレンジしています。
関連記事[中学生]定期テストで合理的配慮可能?PC2台使用で劇的な変化を起こせ!
読み上げ教科書「DAISY」の導入
息子たちが通う川崎市では、今年度から読み上げ教科書DAISYの、個人向けIDとパスワードの配布が容易になったそうです。
ただ、デイジー教科書のIDとパスワードの配布はすぐではなく、9月になってしまいました。
夏休み前には配布してもらえるとありがたいのですが…。
やっとDAISY教科書のIDとパスワードを受け取っても、それぞれのデータやアプリケーションをダウンロードするのが教科書ごと、章ごとで意外と面倒くさい。
我が家のWindowsパソコンは15.6インチ。
バッテリーの持ちも良いとは言えないし、どこかに持ち運ぶのも抵抗があります。
しかも私のパソコンなので、仕事をしたい時には使えない!
でも、Windowsタブレットはいいお値段しますよね〜。
東大先端研「DO-IT JAPAN」への申し込みとWINPCの貸与
5月に通級の先生に誘われていた東大先端研「DO-IT JAPAN」の教員向けプログラムが受理されました。
教員向けプログラムなので、教員が学んで生徒にアドバイスするだけかと思っていたら…
なんと、次男にも年度末までWindowsタブレットを貸与してもらえることが決まりました。
期末テストの数日前に家に持ち帰ることができ、DAISY教科書を聞きまくっています。
3ギガのSIMカードが入っており、WiFiが繋がらないところでもある程度インターネットが使用可能です。
もちろん動画を見まくったりすると、あっという間にデータ通信料がなくなってしまいますけどね…。
ゆくゆくはこのタブレットを教室に持ち込んで黒板を写したり、テスト受験の際にWordの問題データを入れて読み上げ、読字の負担を減らしてほしいと通級の先生は考えているようでした。
元々次男は知的好奇心がなく、いわゆる学問には興味ゼロ、できれば勉強はやりたくないと考えているタイプ。
勉強するためのツールは揃ったところで本人がもっと学びたいとか、テストも点数を上げたいという欲求を持てなさそうなのが辛いところです。
合理的配慮を受けたことでテストの点数が上がれば、
「やっぱり、合理的配慮を受けてよかったでしょう!」
と言えるのですが…実際にはどうなるかわかりません。
点数が伸びなくても、本人への読字、書字の負担は減らすべきだと思いますけどね。
おまけ:特別支援コーディネーターの先生による、定期試験延長への配慮<長男>
特別支援コーディネーターの先生ともちょくちょく電話でやり取りをして、定期試験をどのように受けるかということについてお話をさせていただきました。
次男はまだ中学1年生なので、合理的配慮を試すことができます。
しかし、長男は中学3年生なので、合理的配慮を受けたという実績を作らなければ高校受験にも響いてきます。
長男については、中学3年生の中間試験で10分延長(通常休み時間15分のところを、長男は5分)してもらうことになりました。
おまけ:周囲のクラスメイトに、別室受験について説明してもらう<長男>
別室で定期テストを受ける際に気になるのが周囲の生徒への説明です。
特別支援コーディネーターの先生から、どのように説明しますかということを相談されました。
私個人としては別に悪いことでもないので、本人の意向を聞いてくださいと伝えました。
どんな風に説明してもらったのか先程本人に聞いたところ、特に覚えていないとのこと。
定期テストの朝は直接別室に向かい、帰りの学活は教室に戻っていたそう。
その際に友人から、
「どこにいたの?」
と聞かれたようですが、
「まぁちょっとね」
と、言葉を濁した返事をしていたようです。
息子達の通う中学校は穏やかな生徒が多いみたいで、いじめもなく学校生活を送れています。
時間延長を受けても、からかわれたり、いじめられたりしないとは思っていたようです。
まとめ
以上、中学生の長男、特に次男が中学校で受けられた合理的配慮についてまとめてみました。
小学校のことばの教室で本人に合った指導が受けられなかったこともあり、
「中学でも、どうせ同じだろう」
と諦めかけていたところに、今回のような支援が受けられて本当にありがたいと感じています。
ツールを使うことで本人の学習意欲が少しでも増して、教室でもツールを使った学習が進むと良いのですが…。
みんなと同じがいい、と思春期の子どもらしく考えてしまうのも仕方がない事なのかもしれません。
先月、世田谷区立桜丘中学校の西郷校長先生の講演を聞いてきました。
インクルーシブ教育がテーマ。
参考[セミナー]世田谷区立桜丘中学校校長・西郷先生の講演メモ。すべての子どもたちが楽しい中学校とは?
今苦しんでいる子どもを救いたいたいと考え、非常に速いスピードで学校改革を成し遂げています。
どんな生徒でもタブレットを持ってきても良いし、拡大したテストを受けることも可能だし、カタカナで英語のテストを答えてもいい、そんな学校があるんだと大変驚きました。
この中学校には、他の中学校でタブレット使用を禁止された子どもも転校して来るそうです。
画一的な教育は、誰のためにもなっていないのではないかと最近特に感じています。
吹きこぼれの子も、不登校の子も、発達障害の子も、そしていわゆる「普通」と言われる子(一人ひとり違うんだけど)も楽しく学校に通えるような学校づくりをしていってもらいたいと感じました。
他にも何か聞きたいことがあれば追記しますので、感想をお待ちしています。
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