お子さんの高校進学を考え始めると、
「うちの子に合う学校はどこだろう?」
「どんな選択肢があるのかな?」
と、期待とともに様々な疑問や不安が湧いてきますよね。
特に神奈川県にお住まいの方は、「インクルーシブ教育実践推進校」という言葉を耳にしたことがある方は、
「具体的にどんなところなんだろう?」
「説明会にはいつ頃から参加すればいいの?」
と感じているかもしれません。
「まだ中1・中2だから早いかな…」「中3になってから考えればいいか」–そう思っている方もいらっしゃるかもしれませんが、実はインクルーシブ高校の情報収集は、早めに始めることがとても大切なんです。
この記事では、実際にインクルーシブ教育実践推進校の説明会に参加した経験を踏まえ、「なぜ中学3年生では間に合わないと言われるのか」、そして説明会でどんな情報を得られるのか、何を確認すべきなのかを、具体的にお伝えします。
我が家の次男も読み書きに苦手さがあり、進路選択では親子でじっくり話し合いました。その経験も交えながら、大切なお子さんの未来の選択肢を広げるための一歩として、この記事が少しでもお役に立てれば嬉しいです。
さあ、一緒にインクルーシブ高校について見ていきましょう!
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神奈川県が導入したインクルーシブ教育の背景
インクルーシブ教育とは、障害の有無に関わらず、すべての子どもが同じ環境で共に学ぶことを目指す教育のあり方です。
国連の「障害者の権利に関する条約」第24条にもとづき、教育制度から障害のある子どもが排除されないよう合理的配慮を行いながら、共生社会の実現を目指します。
神奈川県ではこの理念をもとに、インクルーシブ教育実践推進校を設置。2025年時点で14校が指定されており、障害のある生徒とない生徒が共に学ぶ仕組みが整えられています。
従来の支援学校との違いは?
支援学校では、個別に手厚い支援が提供されますが、インクルーシブ高校では基本的に通常学級に在籍し、必要に応じて支援や配慮が受けられる形です。
「通常の環境で学びたいけど、少し配慮があれば安心」というタイプの生徒に適しています。
通常の環境とは…
- 40人程度の集団で高校レベルの内容の授業を受ける
- 行事や、放課後の部活動に参加できる
そして、「高卒資格が取れる」のも大きな魅力です。
支援学校は高卒資格は取得できません。でも、就労に向けた準備をガッツリやってくれるのが支援学校の魅力と言えます。
分教室の様子が知りたい方はコチラ↓
インクルーシブ教育推進校の説明会に参加!
中2の次男と、我が家から一番近いインクルーシブ教育推進校の説明会に参加しました。参加したのは2020年のコロナ禍の真っ只中です。
確か、通級指導教室の先生からご案内をいただいて「いろいろな学校を見ておくべき」と思い申し込みました。
我が家の次男のプロフィールは以下の通り。
- 学習障害、読み書きが苦手で小学校中学年から通級指導教室を利用している
- 支援級には通っていない
- 発達検査をしたところ、IQは90前後で知的障害はない
説明会に伺った学校は最寄り駅からバス利用なのですが、駅からすでに中学生と保護者の姿がありました。ぱっと見、支援級に通っていると思われる生徒のほうが多かったです。
おそらく支援級で案内をもらっているのでしょう。
インクルーシブ教育推進校の説明会の内容
数十組の保護者が集まる大教室で、高校の先生方がお話してくださった内容を簡単にまとめました。
- 進学したいと思ったら中学校3年生になったら担任の先生にインクルーシブ推進校が進学の候補に入ってることを伝える。中高連携事業に申し込みます。
- 高校の授業参観などに参加することで、その学び方が自分にあっているか確認する。
- インクルーシブ実践推進校としていくつか他の高校も候補に上がったら、別途見学する必要がある。
- 中3の5月の終わりぐらいから連携事業が開始する。今年はコロナのため、三つの行事はまとめて9月10月に行なった。
- 試験は面接のみ、本校志望の理由、中学での学習意欲、高校でのやる気や態度を見ます。
- 大事なことは、保護者の意思ではなく本人が進学したいか?必ず意思を固めてから入学してください。
- もっと個別に見てくれると思っていた、本人が入学を納得していないまま入ってしまった、一学年300人以上という大きな集団がダメで進路変更した生徒もいた。
インクルーシブ高校の対象とされる生徒とは?
知的障害や発達障害のある生徒は通えるのか?
はい、通えます。対象は知的障害、発達障害、学習障害(LD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)など。診断や手帳の有無は問われません。
実際に通っているのは、支援級・通級経験のある生徒や、通常学級に在籍しながらも合理的配慮が必要な生徒です。
「通級経験あり」「合理的配慮あり」の具体例
例として:
- 通級指導教室で支援を受けていた
- 中学校で定期テストの別室対応や拡大プリントを使っていた
- 授業中の板書が苦手で、支援員の記録を利用していた などの経験がある生徒が対象です。
どのような支援体制が用意されている?
- 各学年にリソースルームあり
- キャリア教育用の専用教室を活用
- 合理的配慮として:
- テストで丸つけ対応(マークシートが難しい場合)
- プリントへのふりがな付け(ルビ振り)
- スマホ・タブレットの使用(学校からの貸与も可)
生徒の状況をしっかりと把握し、生徒自身や保護者と話し合いながら、より良い高校生活を送れるようにサポートします。
また、将来社会に出るために必要な知識を学んだり、様々な体験を通して自分自身を理解したりする「キャリア教育」に関する科目も用意されています。
ただし、個別の担任サポートや通級のような体制は薄く、自己管理が求められる点には注意が必要です。
インクルーシブ高校の入試内容と選抜方法
どんな形式?学力検査はあるのか
神奈川県立高校のインクルーシブ教育実践推進校特別募集では、学力検査は行われません。選抜は、主に面接の結果によって行われます。
内申点や面接の比重は?
中学校の成績(内申点)や、療育手帳を持っているかどうか、知的障がいの程度などは、選考の資料にはなりません。面接が非常に重視される選抜方法と言えるでしょう。
受験時の合理的配慮(拡大文字・別室など)はある?
受験は面接のみなので、ペーパーテストに対する拡大文字、別室などの配慮は特にありません。
インクルーシブ高校の偏差値・倍率・合格の目安
偏差値はどれくらい?
インクルーシブ教育実践推進校の特別募集では学力検査がないため、一般的な「偏差値」というものは存在しません。
倍率は高い?募集人数と実際の倍率推移
たとえば、令和7年度(2025年度入試)の川崎北高校のインクルーシブの定員に対する応募倍率は以下の通りです。
- 募集定員: 21名
- 神奈川県の多くのインクルーシブ教育実践推進校では、一般募集定員とは別に特別募集の定員が設定されています。川崎北高校もこの形式で、特別募集の定員は21名です。
- 志願状況(2025年2月7日変更締切時点):
- 志願者数: 15名
- 倍率: 約0.71倍(志願者数15名 ÷ 募集定員21名)
川崎北高校は、2024年度も募集定員に対して定員割れを起こしています。決して人気のある学校種というわけではなさそうです。
どんな子が合格しているの?
選抜は面接が中心となるため、「高校で学びたい」という強い意欲があり、自分の言葉で考えを伝えられる生徒が求められると考えられます。
また、学校生活では自分で考えて行動する場面も多くなるため、主体的に学習に取り組む姿勢が大切です。
インクルーシブ教育推進校の説明会の内容と申し込み方法
いつ・どこで開かれる?説明会の流れ
インクルーシブ教育実践推進校の説明会は、それぞれの高校で実施されます。
例年、6月や9月頃に複数回開催されることが多いようです。内容は、学校全体の紹介と実際の授業見学が中心となることが一般的です。具体的な日程は、各高校のウェブサイトで確認してください。
説明会で聞けるポイントと質問すべきこと
説明会では、高校での学習内容や学校生活全般について詳しく聞くことができます。
また、実際の授業や教室の雰囲気を見学できる貴重な機会です。学校の特色や取り組みは各校で異なるため、気になる学校の説明会には積極的に参加することをおすすめします。
生徒への具体的な支援体制、キャリア教育の内容、学校行事、部活などについて質問してみると良いでしょう。
予約は必要?持ち物や服装は?
説明会への参加は、現在通っている中学校を通して申し込むのが一般的です。中学校の先生が参加申込票を作成し、希望する高校へ提出する流れになります。
持ち物や服装については、特に指定がなければ一般的な学校説明会と同様の準備で問題ないと思われますが、念のため各学校の案内を確認してください。
インクルーシブ教育に期待を寄せる保護者からの質疑
一通りスライドを利用した学校説明の後に、 Q & A の時間が持たれました。
普段の学校説明会でこんなにQAが活発になることはないので、やっぱりお子さんの教育にとても関心を持っている保護者の方が多いんだな〜って印象です。
- 入試で不合格になった場合、どうすればいいのか
- 不合格は一般の生徒にもあることなので、不合格だった場合は二次募集や定時制通信制などの高校を受けることになる。
- 軽度知的障害の場合漢字の不得意がある。ふりがなは教科書などにされているのか
- 高校の教科書で総ルビのものはないので、教科担当がプリントをルビ振りしたり取り組みの中で必要なことを補足していく形になる。
- 色々な学校があるのでどこを選んでいいかわからない
- インクルーシブ推進校は健常な生徒に混じって軽度知的障害の生徒が教室に2、3人いて学ぶ形をとっている。個別の対応はほとんどしていない。
他にも中学校で力が発揮できなかった生徒のためのクリエイティブスクールがある。また情緒的な課題があり、通級指導教室を併設している高校などもある。こちらは学力検査がある。
他には定時制高校、通信制高校、昼間定時制高校、支援学校の分教室など、色々な形の学校があるので色々見てみて欲しい。
- ペア学習は必ず決まった人達とやるのか
- ペア学習などはたまたま席の隣の右の生徒と行ったりしている。
- リソースルームはどのような利用されているのか
- 各学年に一つずつ教室が割り当てられている。キャリアデザインの授業を受ける時の場所として利用している。
感情の高まりなどを想定して設置したが、今年入学した13人が利用したことはない。
- 定期テストなどの合理的配慮はあるか?
- 今年入学した生徒のほとんどが定期テストで合理的配慮を受けている。漢字が苦手だったり、マークシートを塗りつぶすことができないなど。
一般の生徒と同じ定期テストを受けるので、別問題を作るなどの配慮は行なっていない。
試験前には生徒保護者に知らせて合理的配慮を確認している。マークシートは塗りつぶさないで丸をつけるなどの工夫も行なっている。
- 校内でのタブレットなどの授業での使用は制限されているか
- 神奈川県立高校では wi-fi を整備して端末持ち込みで授業中も使用することができる。
もしスマホがない場合は学校のタブレットを貸しているので黒板を撮影したりするのは差し支えない。
- インターンはどのようなところに行くのか、キャリアデザインの授業は?
- 一学年でやっているが、12月はオンラインで行われる予定。普段はグループでやっているがコロナでなかなかできていない。
普段のキャリアデザインの授業では13人を4,5人に分けて SST などのトレーニングや PC スキル、タイピング、ローマ字入力、手先のスキルを上げるために多面体構成や革細工などを行っている。
また見通しを立てて計画性を持たせるなど。だが、生徒一人ひとりに合ったカスタマイズはされていない。
インクルーシブ高校にお子さんを通わせていた保護者の方&勤務している先生の話
たまたまお話を伺う事ができたので、ざっくりとご紹介しますね。
インクルーシブ高校にお子さんを通わせていた保護者の方のお話
数年前に卒業したお子さんのお母さんにお話を伺いました。
中学卒業後の進路選択には支援学校かインクルーシブ推進校と迷い、
就労に力を入れている支援学校よりも、普通高校で高校生らしい生活をさせてあげたいという想いから地元のお友達も多く通うインクルーシブ推進校に入学しました。
部活にも入り、普通の生徒さんと一緒に遊んだり活動していたとのこと。
高校3年性になり進路がなかなか決まらなかったものの、高校卒業後は介護系の専門学校に進み、資格取得&就職もできたそうです。お子さんがインクルーシブ高校に通って良かったという感想を持たれていました。
インクルーシブ高校に勤務している先生の話
現場の先生の受け止め方の一例をご紹介します。(あくまで一例です!)
- 1クラス40人に、2~3人インクル生がいて担任の加配が足りない。インクル生だけ手厚く見ていくことが難しい。
- 学校説明会で、「個別の支援は難しい」と伝えてあるはずなのに「期待と違った」と言われることがある。
- 学校に来なくなってしまったり、生徒指導上の問題が起きる割合がインクル生の方が高い。
- 支援学校と連携が取れておらず、ノウハウがまだまだたまっていない。
など、インクルーシブ高校に勤務している先生の中には、受け入れ体制や進路選択に対して準備が足りていない部分があると感じている方もいるようです。
インクルーシブ高校はどんな子に向いている?
家庭で確認したい「向き・不向き」のポイント
インクルーシブ高校では、先生が常にそばについて指導するというよりも、自分で考えて行動することが求められる場面が多くあります。
また、進級・卒業のためには、必要な単位をきちんと取得する必要があり、毎日の授業にしっかりと出席し、主体的に学習に取り組む意欲が不可欠です。
自分の得意なことや苦手なこと、そして周囲にどのように関わってほしいかを学校側に伝えられると、より充実した学校生活を送りやすくなるでしょう。
他の選択肢(支援学校・定時制など)との比較も忘れずに
インクルーシブ教育実践推進校は、多様な生徒が共に学ぶことを通して共生社会の実現を目指す、魅力的な選択肢の一つです。
しかし、お子さんの特性や希望によっては、より専門的な支援体制が整っている支援学校、あるいは自分のペースで学べる定時制高校などが適している場合もあります。
焦らず、お子さんとよく話し合い、様々な情報を集めながら、最も合った進路を総合的に検討することが大切です。
まとめ
以上、インクルーシブ高校の説明会に参加した様子と大きな受験の流れをご紹介しました。
息子と参加したときは、新型コロナウイルスの影響で学校説明会は中3生のみ対象の高校が多く、全く説明会に行けませんでした。トホホ。
私達がお邪魔した高校は、以下のような状況でした。
- この高校は老朽化のため、改修工事が来年から行われる予定で3年間プレハブを工程に建設してそちらで授業を受けることになる。
- とにかく今年度からインクルーシブ1期生なので教員も試行錯誤の連続である。
- 定員21名のところ13名しか入学していないので微妙に定員割れをしている。
神奈川県立の高校ってホントボロいんですよ。築50年近く経つのに建て替えはせず、改修で。もう、少子化で学校を新しくしようという気がないと思ってます。
うちの次男は、自分がインクルーシブ生として通うことも問題ないそうです。ただ、我が家からこの高校はめちゃくちゃ遠くて…1時間以上かかるんですよね〜。できれば30分ちょいで通学時間を済ませたいところです。
今回ご紹介したインクルーシブ高校の情報が、少しでも皆さんのお役に立てれば幸いです。
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