「子どもが中学生になり、全然英語ができなくて困ってる」
「家でできる、効果的な英語学習法はないの?」
特に、LD傾向のある発達に課題のあるお子さんを持つ保護者の方は、「子どもの中学英語の壁」に直面し、途方に暮れていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。

英語は、学習障害の子にとって鬼門中の鬼門なんだよね~
この記事では、筆者の実体験をもとに、知り合いの中学校英語教員に聞いた“本当に効果のあった学習法”と、学習障害の息子たちが高校受験や進路選択時に英語に対してどう向き合ったかをご紹介します。
- 英語ができない学習障害のお子さんの様子やその背景がわかります。
- ベテランの中学校の英語の先生による、効果のあった英語勉強法のやり方を知ることができます。
- 中学生の英語学習についての参考書や指導書を紹介します。
- 実際に、息子たちが高校受験や高校生活でどのように英語と向き合ったか分かります。
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LD傾向の息子の「英語がまったくできない」現状とその背景
息子は小学校時代、支援級に2年間通い、LD傾向(特にワーキングメモリの弱さ)を指摘されていました。中学生になっても、努力に対して学習の成果が出づらく、本人も歯痒い思いをしています。
中1の夏の時点では、
- 英単語が覚えられない・意味がわからない
- 英文を音読すれば内容はなんとなく理解できる
- ローマ字は自分の名前のみ書ける といった状態。
アルファベットが頭の中で踊っているようで…親としても「どうしたらいいの!?」と悩みました。

日本語よりも、英語のほうが読めないし書けない。当たり前か…
学習障害の子どもが英語につまずく、3つの主な理由
一般的に、学習障害の子どもが英語につまずくのには、3つの理由があります。
ワーキングメモリの弱さで「音」と「綴り」が一致しない
ワーキングメモリの弱さがあると、「聞いた音」と「目で見た文字」を頭の中で結びつける作業が難しくなります。たとえば、「right」と「light」のような似た発音の単語を区別するとき、音の情報を一時的に保持しながら文字の形と照合する必要がありますが、このプロセスがスムーズに進まないことがあるのです。
特に英語は「フォニックス」の規則通りにいかない単語が多く、「know」の「k」が発音されないように、音と文字が直感的に一致しないケースが頻繁に発生します。これが、単語を覚える際の大きなハードルになるのです。
例として、「Wednesday」を「ウェンズデイ」と発音できるのに、ノートに「Wendsday」と誤って書いてしまうことがよくあるそう。これは、音を記憶するワーキングメモリと文字を処理する領域の連携がうまくいっていない状態です。
英語圏の人にディスレクシアの人が多い理由の一つになります。日本語は、ひらがなの場合「あ」はあ以外の読み方ができないので読字障害は減るようです。ただし漢字は読みが何種類もあるので厳しいですね。
「書いて覚える」方法が逆効果になることも
従来の「単語を10回ずつ書いて覚える」という方法が、かえって学習意欲を削ぐ場合があります。特にワーキングメモリに課題を抱える子どもにとって、文字を書きながら同時にスペルを記憶するのは、二重の負荷がかかる作業だからです。
ある研究では、書く練習を強要された子どもが「b」と「d」の区別をさらに混乱させてしまった事例が報告されています。これは、間違えたまま反復することで誤った記憶が固定化される「負の強化」が起こるためです。
例として、単語カードの裏面にイラストを描いたり、手指を使わずに空中で文字をなぞる「空書」を試したところ、少しずつ前向きに取り組めるようになったという話も聞きます。大切なのは、「書けない=努力不足」と決めつけず、その子の認知特性に合った方法を探すことです。
英語=新しい“文字体系”であるという壁
日本語の「あいうえお」に慣れた脳にとって、アルファベットは単なる記号の羅列に感じられることがあります。特に学習障害のある子どもは、文字の形や向きの認識に時間がかかる傾向があり、「p」と「q」、「m」と「n」の区別がつきにくいケースが少なくありません。
さらに英語は大文字と小文字が存在し、単語によって字体が変わる(例:aとg)という複雑さも加わります。これは、新しい文字体系をゼロから構築するような作業なのです。
この場合、フォントを変えた教材を使ったり、粘土で文字を作る作業を取り入れたりすることでアルファベットを覚えられることも。新しい文字体系との出会いは誰でも不安になるものですが、様々な方法を用いて苦手意識を払拭できるといいですね。
大ベテランの英語の先生が教える“本当に効く”3ステップ学習法
さてある日、知人であり大ベテランの中学英語の先生に電車内で偶然出会い、相談してみました。返ってきたアドバイスはとても明快。
- 息子さんの様子、中1にはよくあること。
- とにかく音読。1ページにつき50回。暗記するレベルで。
- ブツブツではなく大きな声で読む。
- 教科書CDなど、利用できるものは利用する。
- 単語をいくら書いても自信をなくすだけ。はじめは書かなくてOK!
- テストが30点くらいでも、他の技能で点がつくはずなので気にしないこと
- 音読が、高校入学後に効いてくる
先生の回答を、更に詳しくまとめてみました。
ステップ① 教科書を音読しまくる
勤務校では教科書本文を5回読んだら、□を1つ塗るように指示しているとのこと。□が5つ塗れた学年は5割、8つ塗った学年は8割、□を10個塗った学年は全員が教科書をすらすら読み、内容を頭に入れているという評価をしています。
カタカナ英語はNG。ある程度英語らしい音声で読むことが必要です。
読むときに内容を現わすジェスチャーを一緒にすると効果的です。ジェスチャーと一緒に英語を取り込むのです。
英語の基礎力を身につけるために、とにかく教科書の音読を徹底的に行うことが大切です。1ページにつき50回ほど繰り返し、大きな声でしっかりと読むことで、単語や文のリズムが自然と体に染み込んでいきます。
教科書付属のCDを活用すれば、正しい発音やイントネーションも身につきやすくなります。最初は地道な作業に感じるかもしれませんが、音読を続けることで英語の文章がスラスラと読めるようになり、英語への苦手意識も少しずつ薄れていくのを実感できるはずです。
ステップ② 音で覚えてから“見ないで書く”
音声言語が頭に入ったら、教科書を見ないでノートに文字にします。
その時に綴り間違いやa,the,-sの脱落、大文字、小文字の別、クエスチョンマークやピリオドは全て無視してけっこうです。
とはいえ単語がぬけていたり、主語・動詞がなかったら、それは音読不足なので1に戻ります。
単語をただ何度も書いて覚える方法は、苦手意識を強めてしまうことがあります。最初は書くことにこだわらず、まずは音でしっかり覚えることを優先しましょう。
発音や意味が頭に入ってから、何も見ずに書く練習を始めるのが効果的です。
テストの点数が思うように伸びなくても、リスニングやスピーキングなど他の技能でカバーできる部分も多いので、焦らずに自分のペースで音を頭に入れることが大切です。音から入ることで、書く力も自然とついてきます。
ステップ③ 英語の歌・映像で“英語脳”を育てる
英語の歌や映像を積極的に活用して、英語の音にたくさん触れることも大きな効果があります。中学時代から音声を徹底的に取り入れることで、発音やリスニング力が大きく伸び、高校に進んでからの書く力の向上にもつながります。
好きな洋楽を歌ったり、英語のアニメや映画を観たりすることで、楽しみながら英語に親しむことができます。英語を勉強としてだけでなく、日常の中に自然に取り入れることで、学習の継続がしやすくなり、英語に対する自信も育っていきます。
一番いいのは息子さんが好きなジャンルの英語を聞かせること。特にお母さんの世代が聞いたようなカーペンターズなどのバラードが聞きやすいとのこと。
父母が好きで聞いている洋楽から英語の歌にのめりこむ生徒は多いです。ディズニーでも何でもかまいません、好きな英語の好きな場面を何度でもリピートして聞かせてあげてください。
驚きの実績!中学の定期テストが20点でも高校でトップになった子たち
その大ベテラン先生によると、中学で英語ができない(=定期テストで点が取れない)生徒たちが、高校に進学してどうなったかを、前任校と現任校で2回追跡調査したことがあるそうです。
その結果、どちらの学校でも、すべての生徒がそれぞれの高校で英語のトップクラスになっていました。

そんな…夢みたいなことがあるの?!
彼らは中学の定期テストでは20点、30点しか取れないまま卒業しましたが、教科書を読めない生徒は一人もいませんでしたし、発音も、そこらの中学生に比べてとても上手でした。
また、パフォーマンステスト(スピーキングテスト)でも、他の生徒と同じようにしっかりとできていました。
それは、中学時代に徹底的に音声を頭に入れていたからです。
他の生徒たちより少し遅かったものの、高校1年生の2学期には、しっかりと書けるようになっていました。
逆に、音声を重視せず、書くことばかりやっていては、これまでの失敗した日本の英語教育と同じ結果になるのは目に見えているとのことでした。
家庭vs塾-どちらで何を補うべきか?
中学1年生の時点で塾に通わせてはいたものの、この記事のようなアドバイスを頂いてからは「書く」こと中心の学習方法に疑問を感じました。
塾には、CD音声を活用した音読指導や、単語を「見て読める」ようにする練習、教科書の意味を声に出して理解させる指導をお願いしてみました。
一方、家庭では親子で一緒に音読したり、子どもの努力や成長をしっかり認めて褒めたり、反応を返すことを意識したいと感じました。特に「なぜ音読が大事なのか」を子ども自身が理解できるように伝えるインストラクションが、学習の継続には欠かせないと実感しています。
続けるコツは“ほめる”ことと“環境づくり”
教科書を読めたときには、塾でも家庭でもとにかく褒めることを大切にしています。
「すごいね」「発音がいいね」「前より上手に読めてるね」といった声かけが、子どものやる気を引き出してくれるからです。
親が忙しい時期や、子どもが反抗期に入った場合は、無理に関わろうとせず「学習環境だけ整えておく」ことでも十分だと思います。教材やCDはある程度揃えましたが、正直なところ使いこなせないままになってしまった反省もあります。
それでも、子どもが自分のタイミングで再開できるような環境づくりが大切だと感じています。
学習障害の子どもの英語学習のために購入した本、CDは?
先生おすすめの指導書を早速amazonポチしました。
これは…授業でできたら素晴らしいけれど、家ですべて取り組むのは難しそう!というか実際できませんでした。

英語が得意な保護者ならいけるかも…?
教科書CDも購入。とりあえずiPadに入れました。
現在は、英語の教科書をQRコードを読み取ることで音声教材にアクセスできるようですね。息子たちの時代も無料DLできるようにしてほしかった~!いまの人たちは恵まれていていいな。
他にも、ワーキングメモリと学習支援についての本も購入して読みました。私の発達関連の知識がどんどん増えていきます。
半年後の成果と悩みのリアル
現実としては、反抗期や私自身の多忙も重なり、「分かってはいるけれど実行できない」日々が続いています。親が介入しすぎると子どもは嫌がりますし、小学5年生の次男にも学習支援が必要で、仕事を減らした方がいいのでは…と悩むことも増えました。
できれば、中学校の英語の授業で「音読」「音で覚えて書く」「歌・映像でたくさん英語に触れる」をやってくれたらいいのにな…と思ったものの、やっぱりすべての先生が同じように教えられるわけじゃないんです。
「英語の学習障害は最重度」と言われた長男次男の英語能力・高校受験その後
学習障害の生徒を対象にした英語塾を主催しているもじこ塾さんの講習に息子たちを通わせたことがあります。
その際に言われたことは、
「学習障害の生徒さんの中でも、かなり重度の(できない)方である」
ということ。
そうか…長男は塾に通わせても英語全然できないな~って思ってたけど、「やってもできない」タイプっぽいです。
次男も、通級指導教室でURAWSSという簡易な英語の読み書きの検査を受けて「なかなか厳しい」という評価をいただきました。
そんな二人の高校受験→成人した様子をお知らせしておきます。
- 中学時代の英語は、音読やジョリーフォニックスを個別の塾でお願いして取り組んでもらった。
- コツコツ真面目に勉強していたが…高校入試の得点は100点満点中5点。1点につきいくら課金したんだ…。択一問題なのに、1問しか正解していないの悲しい。定員割れしていたのでなんとか第一志望の高校に入学。
- 高校では、専門教科を学ぶ工業高校に進学。高校の進路相談会でも、「bとd間違える子がいっぱいいますよ~」とのこと。3年生でなんと英語が必修でなくなる。生徒の特性を分かりすぎている…!
- 20歳になっても、近所のスーパー「LIFE」の看板読めず。「How old are you?」と聞いても何言われてるかわからない。カフェの英語のメニューは全滅レベルの英語力。
- だからといって日常生活、仕事では困っていない。
英語ができなくても死にはしない。日本でそこまで英語使わんしね…。
- 中学時代は個人塾でほぼマンツーマンで英語を見てもらう。
- 英単語にイラストがついていればそのイラストから単語を読み取るタイプ。(「elementary school」のみでは意味がわからないが、小学校のイラストがあれば「小学校」と分かったフリができる。全力で情報を取りに行ってますね!)
- 通級指導教室で英語のLDのアセスメントを受ける。
- 高校入試では1/4択一問題で25点は取ってきた。エラい。
- 工業高校に進学後、英語の試験は平均点前後は取ってくる。ヒアリング問題が得意な耳からタイプ。
- 社会人になり、長男と同様に英語は使っていない。ただし、「楽天Edy」「楽天e-NAVI」を「エディ」や「ナビ」と読めない。和製英語的なので正しい読み方はないのかもしれないけれど、単語と音が合わない問題は続行中みたいです。読めないと恥ずかしいな~とは思っているのではなかろうかという感じで、「英語勉強しようかな」と言い始めた。
高校受験、大学受験には必ず引っかかってくる英語学習。
でも、できないものはできんのよ。
もし、進路希望が大学だったら…高校三年間、地の滲むような努力をしなければならなかったであろう。我が家は「苦手なものはなるべく避ける」スタイルで社会人まで来てしまいました。

でも、資格試験などは受かっていますよ。勉強自体をあきらめたらダメ!
まとめ|まずは“音読→書く→楽しむ”のサイクルを回そう!
英語が苦手なLD傾向の中学生にとっては、「書くこと」よりも「聞いて、声に出して、楽しむこと」が何より大切です。
焦らず、できることから始めてみてください。「できた!」という体験が増えれば、英語はきっと好きになれます。
ただし、どんな手を打っても能力の問題で全く英語ができないまま成人してしまう我が家のようなお子さんもいます。英語ができない場合、高校受験と大学受験が本当に鬼門ですよね…。
実際、小学校から英語の習い事をさせていたのに学習障害とは気づかずで、中学になってやっと特性が分かったお子さんのコミックエッセイも読みましたが切ない~!あるあるエピソードが満載です。超おすすめ。
なんで大学入試に英語が必須なの?大学ってそんなに英語使う?などと思うときもあります。
入試から英語を取り除いたら、もっと英語を楽しく学べると思うんだけどねぇ…。ムリか。
「すらら」は発達障がいのお子さまにも対応した、学年をさかのぼって苦手単元から学べるオンライン学習サービスです。
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こんにちは。
いつも拝読させていただいております。
とても参考になり、助かっております。ありがとうございます。
英語の問題は日本語以上に難しいですよね。
ジョリーフォニックスという、指導法をお聞きになったことはございますか?
私は特に、回し者ではないのですが、参考までにと思い、コメントさせていただきました。興味がおありになるようでしたら、検索してみて下さい。
ご存知でしたら、失礼いたしました。
コメントありがとうございます。
返信が大変遅れまして申し訳ありませんです…。
英語の問題は本当に大変ですよね!
子どもに何とか身につけさせたいと思いましたが、
どうしても大学に行きたいという希望がないとモチベーションを保つのが難しいようで
我が家は諦めました。
高校受験だけ何とかなればあとはどうにかなります!(多分)