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合理的配慮に使えるデジタル教科書・音声教材を体験|タヨーナフェスレポート

「うちの子に合うツールって、いったい何なんだろう」

「合理的配慮って言葉は知っているけど、具体的に何をすればいいの?」

そんな悩みを抱えていませんか?

私も、LD(学習障害)のある次男を育てながら、ずっとそれを探し続けてきた一人です。

2026年5月24日、東京・梅ヶ丘で開催されたイベント「タヨーナフェス」では、合理的配慮に使えるデジタル教科書や音声教材を実際に体験することができました。

この記事では、当日体験してきたツールの特徴や使い勝手、会場の様子をまとめています。

「どんな選択肢があるのかを知りたい」

という保護者の方に、ぜひ読んでいただけたら嬉しいです。

この記事の著者

学習障害の息子2人の母

ぴーたん

プロフィール

25年間高校教員を勤め、現在は特別支援学校勤務。
これまで、多くの発達特性のあるお子さんたちと接してきました。
私自身、学習障害のある息子たちを育てながら、家庭と学校の両面からサポート
このブログでは、保護者の「どうしたらいいの?」に寄り添い、実体験や役立つ情報をシェアしています。
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タヨーナフェスとは?ディスレクシア・発達障害の子を持つ保護者向けイベント

正式名称は「デジタル教科書・音声教材 勉強会&体験会 ―『読む』を支える選択肢を知る一日―」。

タヨーナフェス

主催は一般社団法人「カラフルバード〜CBLD〜」です。

ディスレクシアや発達障害などにより「読むこと」に困難を抱える子どもたちのために、デジタル教科書や音声教材を実際に体験できる場として企画されました。当日はオンラインと現地合わせて約200名が参加したとのことです。

タヨーナフェス・うめとぴあ

私は午後からの参加で学習会のお話は聞けませんでしたが、音声教材・読み上げツールの勉強会に参加し、スタッフとしても微力ながらお手伝いさせていただきました。

「ここまで進化していたとは!」合理的配慮ツールに驚き

お恥ずかしながら、最近の合理的配慮に関わるツールの進化がここまでとは全く知らなかったので、大変驚きました。

タヨーナフェス

うちの次男が通級指導教室で合理的配慮を学んでいた頃は、まだ2019年、コロナ前のことです。コロナ以降、ICTやAIの進歩と、合理的配慮の義務化も重なって、さまざまなツールが誕生しています。

もう長男も次男も成人してしまっているので、これらのツールを使って勉強するということは叶いません。でも、今まさに読み書きに困難を抱えているお子さんの参考になればと思い、この記事を書いています。

ただ、ツールが増えても、学校で使うとなるとまだまだ困難が生じているのが現状です。このあたりは、後ほど詳しく書きます。

実際に体験できた読み書き苦手な子ども向けのツール・教材を紹介

代読・代筆学習支援アプリ「もじソナ」

もじソナ(公式サイト):https://mojisona.com/

普段使っている教材を、その場ですぐ音声付きデジタル教材にできるアプリです。

授業でいきなりプリント配布が行われたりする場合、強い味方になってくれそうです。画期的!!!

もじソナ

学校のワークや学習プリントを写真に撮るかPDFで読み込むと、タッチするだけで文字を読み上げてくれます。入力モードにすれば、指で書いたりキーボードで答えたりすることも可能。ウェブアプリなので、学校のGIGA端末でも動かせるのがポイントです。

イベント当日は、実際にもじソナを使っている保護者の方がカラー版のテストをその場でスキャンしてデモしてくださいました。

専門家の監修のもと、延べ400人を超える当事者の声をもとに開発されたアプリということで、現場感がしっかり反映されているのが伝わってきました。

料金は月額3,828円(スタート記念キャンペーン中は月額2,200円・100ページ取り込みにつき)、初回10日間は無料で試せます。

使い方さえ覚え、学校で活用できるようになれば、かなりの味方になってくれるのではないでしょうか。

ペンでタッチすると読める「音声付教科書」(茨城大学・藤芳研究室制作)

音声付教科書(公式サイト):https://apricot.cis.ibaraki.ac.jp/textbook/

教科書に見えない2次元コードが印刷されていて、専用の音声ペンでタッチするとその場所の内容を読み上げてくれます。

低学年の児童でも操作しやすく、音声ペンは1本5,500円です。光村図書・東京書籍など主要な教科書に対応しています。

支援者が音声を事前に吹き込んで使うタイプのペンもあり、録音用シールに音声を吹き込んでおくと、数字シールをスキャンするたびに流れる仕組みです。

会場では、実際に使っているお子さんのドリルに3桁のシールが貼られていて、問題ごとに保護者の方が音声を吹き込んで対応しているとのこと。根性のいる作業に取り組まれている保護者の方に頭が下がります。

教科書バリアフリー法に基づいて提供されており、障害のある児童生徒は申請によって利用できます(2026年度は有償・教科書1部5,000円+音声ペン5,500円〜)。

スキャナ型読み上げペン

ペン先がスキャナになっていて、紙の上をなぞると文字を読み取って音声化してくれるタイプのペンです。

日本語・英語対応で、翻訳機能やPC・タブレット画面の読み上げ機能も搭載されています。LD親の会の方が実際に使っていると紹介してくださいました。

音声読み上げペン

ただ、体験してみて感じた注意点もあります。微細運動が苦手なお子さんの場合、一直線になぞるのが難しかったり、視覚的な課題がある場合はどこをスキャンしているかか分からなくなってしまったりしそうです。

価格が2〜3万円ほどと少し躊躇する価格帯なことと、教科書のように大量の文字がある場合はこれだけでなぞり続けるのはかなり大変で、音声教科書との併用が必要になるかもしれません。

一方で、印刷物やその場で配布されたプリントをすぐ読みたい場面では重宝しそうです。ある程度成長したお子さんや、学校外の場面であれば、スマホのカメラアプリとOCR機能を使う方が手軽かもしれません。

Amazonでは似た製品が多数あるため、購入の際はレビューや実物確認をおすすめします。

明治図書「マナビリア」

マナビリア(公式サイト):https://www.meijitosho.co.jp/gakusan/manaviria/

全国の中学校4校に1校が利用しているという、教科書副教材や問題集に付帯したデジタルサービスです。合理的配慮に関わる設定として、総ルビ表示と読み上げ機能が使えます。

明治図書マナビリア

総ルビはPC画面上で全問題にルビを表示でき、外国籍の児童生徒や漢字が苦手な子でも取り組みやすくなっています。読み上げ機能は熟語・英文にも対応し、速度調整も可能。

実際に画面を触らせてもらいましたが、漢字学習で「信」のにんべんの接し方がうまく書けず、4回やり直してようやく合格しました(笑)。

明治図書マナビリア

採点基準は調整できます。LDのお子さんは鉛筆や消しゴムの扱い自体に苦労することも多いので、空書きで練習できる端末での学習は向いているなと感じました。

パンフレットによると、学習障害のある子どもが定期テストで7〜8割の点数を取れるようになった事例や、教員・保護者が教材にルビを振ったり読み上げたりする負担がなくなったという声もあるようです。

光村図書の国語デジタル教科書

光村図書(公式サイト):https://dt.mitsumura-tosho.co.jp/products/

SNS界隈でも話題のデジタル教科書。光村図書の国語教科書で使える機能が充実していて驚きました。

光村図書のデジタル教科書

色カバーの変更、ハイライト、スクロール表示、文字サイズ拡大、行間調整、分かち書き、ルビ、書体選択、全文読み上げ、録音して音読を確認する機能……紙の教科書と比べると、汎用性がまったく違います。

特に小学1年生の教科書に「特殊音節習得枠」があったのが印象的でした。促音・長音・拗音の練習が収録されています。うちの次男は拗音が小学5〜6年になってもできていなくて、フラッシュカードをメルカリで探してなんとか習得させたんですよね。

低学年のうちにこうした機能があれば、もっと早く手当てできたかもしれない。本当にありがたいことです。

学校でのデジタル教科書導入が進まない場合、個人購入も受け付けており、申し込むと当日か翌日にはアカウントが届くそうです。学校経由だと2〜3ヶ月かかることもあるので、待てない場合は個人で取り組むのもひとつの選択肢です。

※最近光村図書は個人購入できるようになったようで、Web検索すると、まだFAQに「個人購入はできません」とあります。早く訂正して~!

カラフルバードに、デジタル教科書を個人購入する方法が掲載されています。

UDブック(広島大学制作)

UDブック(公式サイト):https://home.hiroshima-u.ac.jp/ujima/onsei/index.html

広島大学が制作・提供している音声教材で、発達障害等の特性がある児童生徒や、日本語学習中の児童生徒が無料で利用できます。

原本と同じレイアウトを維持したまま、読み上げ箇所がハイライト表示される仕組みで、先生の説明を聴きながら今どこを解説しているか追いやすいのが特徴です。

そして一番驚いたのが、高校の教科書もUDブック化してくれるという点。要望があれば対応可能とのこと。

デジタル教科書は小中学生向けが多い印象があったので、これは嬉しい情報です。「かいけつゾロリ」「ほねほねザウルス」「角川まんが学習シリーズ」なども貸出形式で利用できるようです。

今回展示されていたその他のツール・教材

体験する時間は取れませんでしたが、会場には他にも気になるツールが展示されていました。簡単にご紹介します。

AccessReading(東京大学先端科学技術研究センター)

AccessReading(公式サイト):https://accessreading.org/

東京大学先端科学技術研究センターと同大学図書室が共同運営するオンライン図書館です。

読むことに困難がある児童生徒向けに、検定教科書の電子データを無償で配信しています。小学校高学年から高校まで全教科に対応しており、高校の専門科目まで扱っているのが特徴です。

音声教材BEAM(認定NPO法人エッジ)

BEAM(公式サイト):https://npo-edge.jp/use-edge/beam/

認定NPO法人エッジが文科省委託を受けて制作する音声教材です。国語・社会の教科書本文を中心に音声化したもので、LDのある児童生徒に無償提供されています。

AI合成音声ではなく、人の手でイントネーションや間を調整した自然な読み上げが特徴。MP3形式でオフラインでも使えます。

慶應義塾大学 PDF版拡大図書

DLPプロジェクト(公式サイト):https://psylab.hc.keio.ac.jp/DLP/

文部科学省の委託を受け、慶應義塾大学が制作・提供しているPDF形式の拡大図書です。

高等学校用教科書を中心に、小中学校の教科書についても対応しており、弱視等の生徒だけでなく読み書きに困難がある生徒の学習支援にも活用できます。

東京書籍 学習者用デジタル教科書

東京書籍(公式サイト):https://www.tokyo-shoseki.co.jp/

全国24,000校以上で使われているデジタル教科書プラットフォームです。

ルビ表示・文字サイズ変更・読み上げ機能など合理的配慮に活用できる設定が標準搭載されています。

タヨーナフェス参加者の様子|熱心な先生方と悩める保護者たち

会場には、小学校の先生、自治体の教育関係職員、通級の先生、言語聴覚士の方など、多様なプロフェッショナルが休日返上で来場されていました。

このようなイベントに自分ごととして参加してくださる先生方がいることが、本当にありがたく、嬉しく感じました。

小学生ぐらいのお子さんを連れた親子連れも多く、

「これ使いやすそうだね」「リーディングトラッカーは何色が見やすい?」

などと話し合いながら実際に器具を試している姿を見るのは、本当に嬉しいものでした。

小さい頃から自分の特性を知って、便利なツールを使っていける環境があることは、次男の子ども時代からすると、まさに隔世の感がありました。

一方で、保護者の方がお一人で来場されているケースも散見されました。

お子さんが不登校になっていたり、中学生になって親の言うことを聞かなくなったり、本人が自分の特性を認めないといった深刻なお悩みも多いようです。

ツールへのハードルがまだ高い、ローマ字入力ができないという課題もあります。

習熟が必要なツールであれば、保護者も使い方に??ってなる場合は使わなくなってしまう場合もありますね。

ローマ字入力できないお子さんの場合は、フリック入力ができる端末を使わせてもらうような配慮もあるといいと思います。

うちの次男は中学生の間にローマ字入力ができるようになりませんでした。解決策としてサーフェスのフリック入力で、定期テストでの解答入力をしていました。

ただ、Chromebookはフリック入力できないんです~。しかも、キーボードが小文字だったりする~~~。まあね、確かに英文はほぼ小文字だよね。でも、b,d,p,qの弁別がしにくい子どももいるのよ。

キーボード

細かい!と思われるかもしれませんが、こういうところ意外と大事だと思ってます。

他にも、通級や特別支援の先生方からも「ツールを使う段階までいかない生徒への対応」が課題として挙がっていました。

すでに諦めてしまっているのか、もともと学習への意欲が持てないのか、他の要因があるのか……何がどうなれば上手くいくのか、現場でも常に議論されています。

私が高校で生徒を見ていた頃も、端末を忘れた・充電が切れたと理由をつけて、学びから逃げたいという子は一定数いました。

そういった子どもたちに何ができるのか、めちゃくちゃ悩んだ記憶があります。小中学生の頃からすでに「学びが嫌だ」と感じてしまっている状況をどう打開するか、改めてその重要性を痛感しました。

「情報が現場に届いていない」問題│保護者はどう動けばいい?

一番のネックは、学校がこれらの教材に対して無理解だったり、知識が乏しかったりすることだと感じています。

現在の統計では、読み書きが苦手な生徒は「クラスに2人」の割合でいるとされています。ある程度の規模の学校なら相当な人数が支援を必要としているはずですが、「まだ努力が足りない」と見なされたり、人一倍の努力を強いられている現状はまだまだあるのではないでしょうか。

また、紙とデジタルの併用は現場にとって悩ましい問題でもあります。「どちらを使ってもいいよ」となった途端、採点漏れや確認漏れが発生するなど、ダブルスタンダードによるタスク増が起きてしまいます。

本音では統一してほしいという気持ちもあるのが現場の実態です。

それでも、こうしたデジタル教科書を必要としている子がいるという事実は、まだ十分に知られていません。特定のメディアだけでなく、普段のニュースやテレビでも広く伝えられることで、社会的な認知度が上がることを願っています。

ひとつ注意してほしいのが、「読み書きの困難」は人によって状態が千差万別だということ。一般的なディスレクシアのイメージとは異なるお子さんも多く、デジタル教科書が非常に合う子もいれば、ほとんど影響がない子もいます。

「この道具さえあれば解決」という単純な話ではないのが難しいところです。

保護者としてできることは、まず選択肢を知ること。知らなければ使えません。

そして、根気よく学校や教育委員会に問い合わせてください。モンペと思われてもいいんじゃないかな。

まとめ|合理的配慮の第一歩は「選択肢を知ること」から

今回のイベントで印象に残ったのは、当事者のお兄さん・お姉さんが来場されたお子さんに使い方を教えたり、相談に乗っている姿でした。こういう取り組み、もっと広まれ〜!と心から思います。

熱心な先生方が休日返上で参加されていたことも、保護者の活動が国を動かすレベルにまで来ていることも、本当にすごいことだと感動しました。スタッフの皆さん、ありがとうございました。

今回紹介したツールや教材の詳細は、カラフルバード×LD親の会「ルピナス」が共同で作成した冊子(東京都教育委員会「LIFT」)にもまとめられています。

上記のリンクからLIFT読めるようになってます!支援の方法が大変よくまとめられているので一度は目を通したほうがいいよ!!

ツールは進化しています。どうかこの情報が、今まさに悩んでいる保護者の方に届きますように。

※画像はカラフルバードさんにOKをいただいて掲載しています。

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