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「勉強が苦手な子の進路」進路そのものを考える③

こんにちは!ぴーたんです。ブログに訪問してくださりありがとうございます。

Kindle出版を予定している、「勉強が苦手な子の進路」に掲載予定の文章をつらつらアップしています。

この記事で、「進路そのものを考える」の章は最後になります。

自分の伝えたいことを的確な文章で表すことの難しさをひしひしと感じながら綴っております…。

「もっとここが知りたい!」「こんな風に書けば良いのでは?」などありましたらコメント欄またはツイッターでお知らせくださいませ~。

過去記事はこちら。

進路に「正解」はない

進路に「正解」はあると思いますか?

三者面談で保護者の方と話していて気になるのは、進路に「唯一の正解がある」と思っていらっしゃることです。

  • とにかく大学に行ってほしい
  • 偏差値の高い大学でなければならない
  • 大学に行かなければ一生安い賃金で働くことになる

このような考えにとらわれている保護者の方がとても多いです。

しかし、昭和ならいざ知らず、現在の令和の時代では主要産業がどんどん移り変わります。経済の流れが以前の数倍以上早い現代において、「唯一の正解」を求めてしまうのは危ういなと感じます。

私の考えは、

「いま現在で、よりマシな進路を選ぶ」

ということです。

誰しもが、将来の見通しが難しい時代に生きており、一度きりの進路選択で全てが決まるわけではありません。

将来、興味や必要性を感じた時に再度学びの場に戻ることもできます。人生は長いものであり、平均寿命が約85歳と言われています。18歳から引き算すると65年以上あります。18歳での進路選択がその後の人生に100%影響すると考えてしまうと、逆に怖くなり一歩も踏み出せなくなってしまいます。

進路は、時代や景気の影響を大きく受ける

また、高校卒業後の進路は時代や景気に流されるのが一般的です。

バブル時代に学生だった人は、新幹線の交通費まで出してもらえて内定が何十社ももらえたり、逆に就職氷河期に学生だった人は、正社員になれないまま40代になってしまったりと、時代の影響を大きく受けます。

そして皆さんも感じている通り、現在は将来を見通すのが非常に難しい時代になっています。

2020年に行われるはずだった東京オリンピックの2年前(2018年)の進路指導の際には、

「大学に入学した場合、オリンピック開催後に就活することになる。景気後退をしている可能性があるから就職活動の難易度が上がるのではないか」

との情報があり、面談時には将来の景気についての予測を伝えていました。

しかし、2020年から始まった新型コロナウイルス感染症のまん延により東京オリンピックは1年延期。また景気も予想よりも大きく後退し、業種によっては多くの企業が倒産するような事態に陥ってしまいました。

未来の大まかな方向性は見据えつつも、サーフィンをするように時代の波を読み、そして波に乗っていくための努力がより必要とされています。

    生徒の能力に幅がある、進路多様校の実際

進路多様校での実際の状況や、生徒の能力の多様性についてお伝えしたいと思います。

偏差値が40前後の高校は「進路多様校」と称され、時には「教育困難校」とレッテルを貼られることもあります。私が進路多様校で働く中で気づいたことは、生徒たちの能力にはかなりの多様性と幅があるということです。

進路多様校には、中学校の内申点がオール2からオール2.5前後の生徒が入学してきます。内申点の分布を見ると、平均的にオール2だったり、特定の教科に1がついていたり、3があったりと、生徒たちの能力には大きなばらつきがあります。中には小中学校で通級指導教室に通い、学習障害が指摘されている生徒や、グレーゾーン・境界知能の生徒も存在します。

例えば、英語の場合、アルファベットの小文字の「b」と「d」が覚えられない、アルファベットが古代文字に見えるという生徒もいれば、高校で英語学習のモチベーションが湧き、コツコツと勉強し、英検2級を取得する生徒もいます。さらに、学校が提供する短期留学プログラムに参加し、帰国後は流暢な英語で留学の報告をする生徒もいるほどです。

また、国語、英語、社会など特定の科目に限定すれば、大学進学のための学力を持つ生徒も少なくありません。

しかし、日本の学校では、できない科目を減らすよう指導されることがよくあります。このような状況下で進路多様校の生徒に、「全科目の勉強ができない子」「苦手な子」というレッテルを貼ってしまうことは、あまりに大雑把な見方ではないでしょうか。

さらに、生徒たちが口にするつぶやきも気になります。「どうせ◯◯高校だし」とか、「自分はダメなやつなんだ、人生終わった」といった言葉が出てきます。彼らは自己評価を0か100で判断しており、自己評価が低くなっていることがつぶやきに表れています。

「まだまだ人生は長いのだから、そんな風に思わなくても大丈夫!」と声をかけてはみますが、彼らは小中学校から長期間にわたって低評価を受け続けてきた生徒たちです。教員の声かけだけでそんな考え方が変わるようなら苦労はしません。

彼らが自信を持てるようにするためには、どのようなアプローチが効果的なのか、教員たちも悩んでいます。

進路多様校は、進路を自分で選ばなければならない

進路多様校では、生徒たちが自分で進路を選ばなければなりません。当然ながら、生徒の学力や能力が多様であるということは、選ぶ進路も多様であるということです。

かつて、子どもが多かった時代には専門学校や就職を選ぶ生徒の割合が高かったです。しかし、現在では少子化という要因もあり、多くの進路多様校では、大学・短大進学者が30〜40%前後、専門学校進学者が40%前後、就職が5〜10%前後となっています。また、未決定者も一定数存在します。偏差値が40台だからといって、大学進学ができないというわけではありません。

進学校に通っていた方にはイメージが湧くかもしれませんが、大学進学率が100%の高校では、大学化、専門学校、または就職かと進路先に悩む必要がありません。「同級生が大学に行くから」「大学以外の進路を考えたことがない」という理由で、自分の学力や興味に合った大学を選び、推薦入試や一般入試に臨めば良かったのです。

一方、進路多様校では、卒業時点で大学、専門学校、就職といった広い範囲から自分で進路を選ばなければなりません。服装や髪型、選択授業など、何かと「お友達と一緒」が好きだった彼らであっても、進路に関しては「お友達の◯◯ちゃんと同じ学校に行きたい」という生徒はいません。

最終的には教師や保護者と面談しながら、自分で行動を起こす必要があります。例えば、オープンキャンパスに参加するなど、自ら動いて自分なりの進路を形にするのです。

これが、偏差値50以上の高校と進路多様校の違いの一つと言えるでしょう。

頑張っている卒業生も多い

進路多様校では、進路を切り拓くのは難しいのではないかと思われる方も多いかもしれません。実際には、発達障害や貧困といった困難な状況にある高校生を取り上げた書籍もいくつか出版されています。しかし、そこに通う生徒がすべて困難を抱えているわけではありません。

実際のところ、進学した卒業生の中には大学に進学し、3年後に教育実習に来て立派に研究授業をやり終える人もいます。先日、就職内定を報告しに来てくれました。美容師の専門学校に進学、その後店長になり、複数の店舗を任されて報酬を得ている卒業生もいます。さらに、鉄道会社で運転手として働いている卒業生や、ユーチューバーとして数百万人単位のチャンネル登録者を持ち、テレビにも出演している卒業生もいます。数え上げればきりがありません。

進路多様校に進学したからといって、その後の人生が終わったと考える必要はありません。ただし、卒業後に進路が未定のままフリーターとして働いている卒業生や、大学を中退して進路が決まらずにアルバイト生活を送っている卒業生も存在します。

こうした事例を通じて、進学先や進路がどうであれ、生徒たち一人ひとりには可能性があり、将来を切り開くチャンスがあることをご理解いただきたいと思います。

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